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電話加入権の今後
一般家庭ではIP電話やスマホなど携帯電話の普及で、アナログの固定電話が必要なくなってきたというのは事実です。しかし、だからといって電話加入権の制度を廃止してしまうと企業は困ることもあるのです。
無形固定資産として電話加入権を計上している企業
NTT東日本/西日本の、電話加入権の制度を存続しなければならない事情は、大企業の資産を無価値にすることを決断できないということにあると前回ご説明しました。これはどういう意味かというと、企業は自社で持っている電話加入権を無形固定資産として計上しているからなのです。
大企業なら、電話加入権の資産総額は数億から10数億円にもなります。これが、ある日突然、無価値となってしまったら事業の根幹も揺るがしかねない大損害を受けかねません。
このような事情もあるため、NTT東日本/西日本も、国(総務省)も電話加入権を簡単に廃止できないといった状況が続いているのです。ご承知のように、電話加入権というのは「権利」であり、定価であろうが格安であろうが、商品自体の価値に変わりはありません。
そうであれば、NTT東日本/西日本と直接契約をするよりも、格安で電話加入権をお譲りしている電話加入権ドットコムから購入していただく方がお得になるというわけです。
災害時の緊急電話としてアナログの固定電話は必要
アナログの固定電話が必要なのは、現在のところ高速のインターネット回線として代表的なADSL回線を利用している面があります。
近年は光インターネット回線も普及してきましたが、まだ初期工事に費用がかかるため、いきなりすべてが光インターネットへ移行するということは考えにくいです。
そして、携帯電話やスマホがあればアナログの固定電話が必要ないという意見もあります。しかし、実際にはそうとは言い切れない問題があるのです。
携帯電話やスマホの電話番号しか持っていない人は、社会的な信用を得にくいという話をよく聞きます。住所を特定できないため、カード会社などでは現在でも固定電話の電話番号がないと契約しないというところもあります。
そして、災害時の緊急電話として携帯電話やスマホはつながらなかったことは、東日本大震災の際に問題となりましたよね。
これは、固定電話でもIP電話やひかり電話だと電源が必要となるため、やはり緊急時には使えなかったわけです。その点、アナログの固定電話は電源をNTT東日本/西日本の基地局から提供されるため、基地局がダウンしないかぎり安定した通話が可能となります。
そのため、企業ではアナログの固定電話回線をあえて残しているのです。このように、電話加入権はなくならず、アナログの固定電話が必要な状況はまだまだ続くことを覚えておいてくださいね。