2023.03.27

NTTによる固定電話の提供義務が廃止される?

ユニバーサルサービス制度

目次

固定電話の提供義務

NTT東日本/西日本には、固定電話の敷設義務があります。これは、たとえどんな山奥でも、孤島でも、固定電話を使いたいという人がいれば、回線工事を行なわなければならないというものです。しかし、最近はこれについての見直しが余儀なくされているようなのです。

携帯電話普及で果たして本当に必要なのかという声

今年に入って、政府はNTT東日本/西日本が、どんなに山奥や離島であっても、利用者が希望すれば固定電話を提供しなければならないという義務がある「ユニバーサルサービス制度」について、見直しを示唆しました。これに関しては、近年の携帯電話の普及もあり、果たしてNTT東日本/西日本にその義務があるのかどうかという議論がなされてきたことを受けての発言のようです。

そもそもの話、すでに固定電話を新規で設置している世帯が減り続けている現状を考えれば、将来的には最低限度のサービスを提供するべきという方針、およびNTT東日本/西日本の提案もあながち間違いではないというのが政府の見方ということになります。今後、ヒアリングを行なって決定していくようです。

NTT東日本/西日本の主張としては、特に若い人に関しては固定電話を使わないのが状態化しており、いったいいつまで固定電話設置を義務づけるユニバーサルサービスが必要なのかということのようです。有識者による議論をしっかり行なうことが必要だという考えを明らかにしていますね。

ちなみに、この利用者が求める固定電話の敷設に関しては、2015年度には遠隔地での工事、または保守などに関してNTT東日本/西日本を合わせて800億円を超える赤字が出たそうです。

見直しには一定の時間が必要

現在はNTT東日本/西日本だけでなく、すべての固定電話や携帯電話の利用者が「ユニバーサルサービス料」として月数円ずつを負担しています。

上記の損失に関しても、その一部にユニバーサルサービス料が充てられているわけです。つまりこれは、あまり人数が多くない遠隔地に住む人たちに必要な固定電話回線の敷設や保守の代金を、いわば国民全員で一部負担しているということになるのです。

とは言え、政府の考えとしては台風など災害の発生で携帯電話の基地局がダウンしてしまうことも考えられるので、今すぐにNTT東日本/西日本の固定電話の提供義務を廃止するわけではないとしていますから、こうした見直しには一定の時間が必要になってくると考えられます。