2018.06.08

IP電話で電話が変わる?(2)IP電話に替えるメリット・デメリット

料金や利便性

目次

IP電話で変わる電話

固定電話をIP電話にすると、どのようなことが変わるのでしょうか? 新たなサービスには必ずメリットやデメリットがあります。通話料を抑えることができるメリットが大きく謳われているIP電話ですが、実際はどうなのでしょうか。

IP電話に替えるメリットは?

IP電話に乗り替える理由として、もっとも一般的に知られているのは通話料の安さです。
IP電話はインターネット回線を利用して通話できるシステムとういことは前回説明したとおりです。つまり、全世界の人が利用しているインターネットを介して、IP電話では世界中どこの人とも通話が可能になるのです。
そして通話料がアナログの固定電話よりも遥かに安くなります。アナログの固定電話回線は、その仕組み上どうしても長距離通話の料金が高くなってしまいます。これに対し、IP電話は距離による料金の違いがなくなります
もう少し具体的に説明しましょう。アナログの固定電話の場合、距離が遠くなればなるほど通過する基地局(交換機)の数が増えます。この交換機を通過するごとに料金が発生するため、どうしても遠距離通話では通話料金が高くなってしまうのです。

IP電話なら、こうした交換機を通過する必要がありませんから、ダイレクトに通話相手へつながることが可能となるのです。
IP電話のサービスが始まったばかりのころは、通信品質があまり良くなかったため、接続が切れたり聞き取れなかったりすることが多かったのですが、光インターネット回線の普及に伴って音声の品質もかなり改善しました。現在では、ほとんどアナログ回線と変わらない品質で通話することが可能です。
音声の品質が変わらず、しかも料金が大幅に安いということであれば、これはIP電話に替える大きなメリットになることはご理解いただけると思います。

デメリットはないの?

良いことづくめのように見えるIP電話への乗り替えですが、デメリットも少なからずあります。まず、もっとも大きなデメリットは災害などによって停電が発生した場合、IP電話が使えなくなってしまうということです。これはインターネット回線を使用するためにルーターやモデムを通過させなければならないというシステム上、どうしようもありません。その点、アナログの固定電話回線の場合、電話回線から電気の供給が行われますので停電時でも通話が可能です。

また、IP電話のうち「050」で始まる番号の回線は「110」や「119」といった緊急番号、「0120」のフリーダイヤルや「0570」のナビダイヤルに発信できません。ただ、これはNTT東日本/西日本の「ひかり電話」など、アナログの固定電話と同じ市外局番が割り当てられるIP電話なら発信・通話が可能です。
そしてIP電話はインターネット回線を利用して通話するため、インターネット回線が不安定な状態では通話中に途切れたり、聞き取れないということも起こります。ただ、自宅や職場などインターネット回線が有線で接続されている場合、こうした不具合はほとんど出なくなりました。

IP電話は、とにかく通話料や月額の基本料金が安くなるというふれこみで紹介されることが多いのですが、その利便性や性能もアナログの固定電話と変わらなくなりました。
実際、NTT東日本/西日本では2025年をめどにすべての固定電話をIP電話化する方針が発表されていますので、今からIP電話に乗り替えても問題はなさそうです。