2023.03.27

いま電話加入権について考える(2)

固定電話と携帯電話

目次

いま電話加入権について考える(2)

前回に続いて、電話加入権について改めて考えてみたいと思います。これを読めば、電話加入権について必要なことはおよそ理解できるでしょう。

アナログの固定電話は携帯電話より高音質

アナログの固定電話回線の音声信号は、非圧縮で送受信されています。データ通信の量を削減するために人間の声で使われる周波数帯を多く残し、ほかの帯域の信号を少なくしている携帯電話やIP電話などと比べ、アナログの固定電話は圧倒的に音質が良く、相手の声が聞き取りやすいのです。

これについては、携帯電話を利用した振り込め詐欺の対策としても有効でしょう。携帯電話などでは、音声信号の圧縮が原因で人の声の特徴となる要素がなくなってしまい、誰でも似たような声に聞こえることが被害を拡大させていることもあるのです。

多くのアナログ固定電話の電話機は高圧縮率のIP電話アダプタなどを接続しなければ、携帯電話と異なり、原理的に誰の声を聞いても同じに聞こえるという現象が起こりにくいのです。

そして、これは蛇足かもしれませんがFAXの送受信にはIP電話などは利用できないのです。通信帯域が狭く、音声信号を高圧縮率でパケット単位でやり取りするIP電話では、データ転送帯域の不安定さがあるため、本質的にFAXの利用に適していないのです。

いずれは電子メールなどに置き換えられるのでしょうが、未だにFAXを受発注の手段として利用している小売店なども少なくないので、これはアナログの固定電話回線を持っていないと商売にならないのですね。

携帯番号ではカードの審査に受からないこともある

カードローンやクレジットカードなどを契約したい場合、一般には携帯電話の番号では契約が拒否されてしまい、アナログの固定電話番号を提示するよう求められますね。

これは、携帯電話の市外局番部分だけでは、その携帯電話の契約者がどこに居住しているか判別できないためです。

まあ、簡単に言えば、住んでいる場所の確認もできない携帯電話の番号しか持っていない人は、社会的には信用に値する者とは見なされないということです。

現実として、携帯電話は犯罪の手段として使われるケースが少なくないので、未だに社会的な信用を得るレベルにはありません。アナログの固定電話を持っているかどうかが、信頼性の評価基準のひとつとなっているのです。

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