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どうなる?電話加入権(2)
電話加入権の存在意義が薄れてきた理由は、電話を取り巻く環境の変化が大きいのですが、そもそも電話加入権自体が古い制度なこともあります。
電話加入権の制度はインフラ整備のための負担金
そもそも電話加入権とは、以前もご説明したとおり全国に電話回線インフラを整備する目的として設けられました。
戦後の復興時、日本電信電話(のちのNTT)だけではアナログ回線に利用する銅線や電柱など、いわゆるインフラを整備する資金を調達できず、それを補完するために電話加入権の制度を導入し、インフラ整備資金として利用してきたのです。
この施設設置負担金を拠出したユーザーには、優先して電話を引く権利を付与するということで、これが「電話加入権」と呼ばれるゆえんとなっています。
しかも、この施設設置負担金はアナログ電話回線のインフラ整備に使うものなので、NTT東日本/西日本はユーザーに返還する義務はないのです。
ユーザーが施設設置負担金をNTT東日本/西日本に支払った時点で、その負担金は消滅して電話を引く権利だけが手元に残るということになります。これは何を意味するかといいますと、街やインターネット上で見かける「電話加入権販売」業者が格安で販売している電話加入権とは、まさに電話を引く権利だけを取り引きしているのであり、施設設置負担金を預かってNTT東日本/西日本に支払うというものではないということなのです。
すでに施設負担というのは形骸化している
そこで考えたいのが、アナログの固定電話回線の新規加入者が激減しているという話です。
上記のとおりであれば、アナログの固定電話回線に新規加入する人が減ってしまうと、電話回線のインフラ整備が進まなくなってしまうということになるはずです。
でも、そうはなっていませんよね。これは、すでにアナログの電話回線自体が全国的に広く整備されており、しかもNTT東日本/西日本の企業規模なら、インフラ整備の負担金をユーザーに強いる必要など、もはやないということを意味しています。
それでは、施設設置負担金(電話加入権)など廃止してしまえばいいのでは?という声も聞こえてきそうですが、実はそう簡単な話ではないのです。これが、戦後長らく継続的に行なわれてきたシステムという面での障壁だったりするのですが、詳しくは次の項でお話しします。
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