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デジタル化による電話加入権
IP電話等、電話のデジタル化が進んでいますよ。しかし、その影響でオフィスでは電話加入権が見直されているという事実もあります。いったい、どういうことなのでしょうか。
急速にIP電話化されているオフィスの電話
長らく電話回線のメインストリームであったアナログ回線は、NTT東日本/西日本以外ではサービスの新規契約を終了しており、デジタルのISDN回線もNTT東日本/西日本以外はサービスがほぼ実施されていませんでした。
そのNTT東日本/西日本ですら、2020年以降はISDN回線を廃止する予定のため、電話という観点で言えば近い将来、IP電話以外の選択肢がなくなるということになります。
こういった電話を取り巻く状況を勘案し、企業では急ピッチでIP電話への移行を進めているようです。ただ、実はすべてをIP電話に移行してしまうのは早計だという見解もありますよ。それは一体どういうことなのでしょうね。
電話加入の選択肢はNTTがダントツ
現状、固定電話サービスを選ぶならNTT東日本/西日本がもっとも選択肢が多いのは間違いありません。旧・電電公社時代から国策として通信網整備を担ってきたという経緯があり、各電話基地局から企業ビルへのアナログ回線、デジタルのISDN回線を独占してきたのがNTT東日本/西日本だったのです。
そして、今度はIP電話や光ファイバー回線を用いた「ひかり電話」でもNTT東日本/西日本がリードしているのも無理はありません。しかし、企業側ではオールIP電話化というのは少し早いんですね。それはなぜかというと、IP電話では安定して利用できない可能性がある「スーパーG3モード」でのデータ送受信に対応したFAX機が、各メーカーのビジネス向け上位モデルで中心的な存在だということが理由です。
つまり、企業はこういったFAX機を多数所有していて、それを利用するにはアナログ回線、ISDN回線が必要だからなのですね。
以前にこのコラムでご説明したことがありますが、アナログの電話回線は災害時の停電でも使用できるため、公衆電話など維持が必要なわけですが、単純な仕組みであるために強みもあるということなのですね。旧式であり、IP電話よりも利用料が高いといったデメリットもありますが、だからといって単純に切り捨てるということができないといった事情もあるのです。
ただ、こういった社会全体のシステムも、緩やかではありますが移行していくものです。FAXよりも電子メールで、というビジネス現場での要請も増えてきました。アナログの電話回線を新規契約するのはないとしても、現在持っている電話加入権をキープするという考え方は、ここしばらくは続いていきそうですね。