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IP電話への移行
電話加入権を廃止するとさまざまな方面に影響が出ます。影響とは、具体的にはどのようなことなのでしょうか。
セキュリティ面に問題が多い
アナログの固定電話が衰退の一途をたどる中、固定電話界ではIP電話が頭角を現しつつあります。IP電話は、基本的に通話料や基本料が無料なので、気軽に自分の固定電話の番号が持てると人気を集めています。
ふだんは、自分からはほとんど電話をしないし、固定電話を利用するとしても、着信がメインで発信はほとんど行わないといった方には、IP電話は大変オススメの電話サービスではあります。しかし、アナログの固定電話とIP電話が大きく異なるのは、「0120」から始まるフリーダイヤルの番号にかけることができない点です。
このほか、「0570」や「110」「119」などの緊急電話に発信できないものも存在します。これは、いくら低価格(あるいは無料)の固定電話サービスだとしても、一般的に利用するには抵抗があるのではないでしょうか。
そして、IP電話はその仕組みからも問題が指摘されています。IP電話というのは、通話音声を「IPパケット」と呼ばれる通信技術によってIP網を中継して先方に届けられます。
ここにセキュリティ面での大きな欠陥があり、音声パケットを採取するシステムをネットワーク内に設置すれば、いとも簡単に盗聴が可能となってしまうのです。
ただ、専用のIP中継網はNTT東日本/西日本など、通信事業者の管理下に置かれているため、回線やルーターなどの中継装置におけるセキュリティは問題ありません。そこで盗聴を試みようとする者は、回線部から屋内のVoIPアダプターまでの間に盗聴装置を仕掛けるのが一般的です。
このようなシステムは、アナログの固定電話回線では不可能なため、セキュリティレベルという点においてはIP電話は脆弱だと言わざるを得ないのです。
通話ソフトの問題も見逃せない
また、近年はスマートフォンが広く普及していますが、インターネット回線を利用した無料通話アプリなどを活用して通話している方も少なくありません。ここにも落とし穴があるのです。
スマートフォン向けのアプリケーションは、基本的に通信事業者以外のアプリ開発業者から提供されるケースがほとんどです。無料で利用できる反面、アプリ自体の完成度には大きなバラツキが生じます。ご経験がある方も多いでしょうが、無料通話アプリは途中で回線が切断してしまったり、雑音が生じて正しく聞き取ることが難しいといった事例が少なくありません。
通話回線の品質という面でも、IP電話はまだまだアナログの固定電話回線に遠く及ばないといった見方をする専門家が数多いることを覚えておきましょう。