目次
財務会計上の電話加入権の扱い
たくさんの電話回線を持つ大企業にとって、電話加入権はすでに資産計上されているものなのですね。これを廃止するのは得策ではないという声もあります。
それでは、企業における電話加入権の財務上の扱いはどうなのでしょう。
減価償却のできない無形固定資産という扱い
一般家庭などでは、電話加入権を購入しなくても支障がないという人も少なくありませんが、オフィスでビジネスフォンを多数設置している企業には、電話加入権は必要不可欠な存在なのです。
ただ、この電話加入権について財務会計上どう扱ってよいのか、悩ましく思っている企業も少なくないようです。
この電話加入権は、譲渡できる権利です。
そして、その権利内容は時間の経過で変化する種類のものではないため、法人税法上では減価償却できない「無形固定資産」と位置付けられているのです。事実上、ほとんど無価値だとされているわけですが、税務上は経費処理が認められていないのです。具体的には電話加入権というのは、新規購入すると企業の貸借対照表には資産の部に計上する必要があります。
しかも計上する際は実価値ではなく、購入時の施設設置負担金の金額に基づいて算出されるのです。つまり、アナログ10回線をNTT東日本/西日本から36万円で購入した(施設設備負担金を支払った)として、10年後に万が一半額になったとしても、財務会計上は36万円の資産として残り続けるわけです。
通常、資産というのは減損会計が認められるものなのですが、電話加入権は認められていません。その理由は、あまりにも多くの資産が企業にとって保有されているため、それを認めてしまうと国税収入が激減してしまうからなのです。
時価会計ができるようになった電話加入権
上記のように、電話加入権については評価損が認められてきませんでした。やむなく企業は電話加入権を簿価計上してきたわけですが、施設設置負担金が半額に引き下げられた時、損失を無税償却できるように税法上の措置が認められるケースもあります。
そういったこともあって、時価会計を行なう企業も少しずつ増えてきました。つまり、電話加入権の簿価と時価の差額を減損するやり方です。
しかし、この計算は非常に手間がかかり、不備が少しでもあると税務署から減損処理が却下される場合もあるため、大多数の企業では簿価計上を行なっているという実情があります。