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電話加入権が廃止される影響
電話加入権が廃止されるというのは予定に過ぎません。しかし、もし廃止されてしまったら、どんな影響があるのでしょうか?
企業が持つ財産的価値が消滅
世論としては、施設設置負担金廃止の声が相変わらず大きいのですが、電話加入権を複数(あるいは多く)所有している事業規模の大きい企業では、電話加入権は無形固定資産として計上されていますので、この施設設置負担金が廃止されたら大きな混乱が起きると言われています。
そして施設設置負担金が廃止された場合、電話加入権の財産的価値は消滅してしまいますから、これらの企業は会計上、非常に大きな損失を計上しなければならなくなります。大企業ならば所有する電話加入権の総額は数億~10数億円にもなります。それが一瞬にして消えてしまうとなれば、これは企業としての存立の危機にもなりかねません。
ただもしそんなことになると、日本経済に大混乱を引き起こしかねませんから、国でも対策を検討しているようで、施設設置負担金が廃止されても電話加入権の価値を残す方向で調整が行なわれるという専門家の見方もあります。
つまり、廃止されるのはあくまでも施設設置負担金をNTT東日本/西日本に支払う制度であって、固定電話の利用権自体が失われるというわけではないため、電話加入権というものの事業資産としての価値は残るだろうという考え方です。
しかし、電話加入権自体の価値がなくなって金銭のやり取りができなくなれば、施設設置負担金の廃止とともに電話加入権の財産的価値も消滅してしまうのは事実です。
それゆえに、企業は電話加入権の資産価値を守るため、施設設置負担金制度を残すことに必死なんですね。
社会的に大きな影響が出る
こうした事情があるにも関わらず、大企業を中心とした経済界は意外にも施設設置負担金の廃止に反対していないという不思議な現象があるようなのです。
施設設置負担金の廃止論が浮上してから時間が経過しており、すでに独自で損失処理に取り組んだ企業があったり、徐々にIP電話に移行して電話加入権が資産全体に占める割合を段階的に減らしてきたという企業もあったりで、大企業を中心とした経済界にとっては、施設設置負担金の廃止というのはあまり重要な問題ではなくなったのが要因です。
しかし、そういった大企業以外では大量の電話回線を使う企業やレンタル回線業者、電話加入権取扱業者などには、当たり前ですが大打撃が予想されます。国やNTT東日本/西日本の一方的な方針転換で財産が無価値されるのは、憲法に定められている「財産権の侵害」という指摘もあるため、施設設置負担金を廃止するのは社会的にも大きな影響が出るのは間違いありません