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帳簿上の扱い
企業において電話加入権は必要なものです。それはそうですよね。電話がないと業務上、何も進みませんしね。最近は電話加入権を必要としないライトプランや、IP電話などに切り替えている企業も少なくありません。
しかし、長らく業務を続けている企業は電話加入権を多く保持していることでしょう。電話加入権を購入した当時は、施設設置負担金が高額だったこともあり、資産として計上する必要があります。それでは、企業における電話加入権の帳簿上の扱いはどのようにすればよいのでしょうか?
電話加入権は減価償却のできない無形固定資産
個人では必ずしも電話加入権を購入する必要はないと思われていますが、業務でビジネスホンを多く使っている企業にとっては電話加入権は未だに重要な存在です。しかし、この電話加入権を帳簿上どのように扱うかについて多くの企業が頭を悩ませているようです。
電話加入権は譲渡可能な権利であり、その権利の内容は時間の経過によっても変化しないため、法人税法上では減価償却ができない無形固定資産とされています。そして、現実的にはほとんど価値がないとされていますが、税務上は未だに経費処理が認められていません。電話加入権は新規購入すれば、会社の貸借対照表の資産の欄に計上する必要がありますが、この場合は実際の価値ではなく、購入時の施設設置負担金の金額に基づいて算出されることになります。
そして、この電話加入権は帳簿上の金額と実際の取引金額が大きく隔たっているので、本来なら減損会計の対象として簿価を適正な時価に引き下げなければなりません。
実際、大企業ほど多くの加入電話回線を持っており、資産としての電話加入権が非常に多く眠っているということになります。しかし税金の申告上では、この評価減は認められていませんでした。なぜでしょうか。それは国家の税収で考えれば、電話加入権の評価損を認めてしまったら大変な税収減になってしまうからです。
電話加入権も時価会計ができるようになった
しかし、2005年に施設設置負担金が72,000円から36,000円に引き下げられたことを契機に、損失を無税償却できるよう税法上の措置が盛り込まれました。これにより時価会計を行なう例も増えています。
しかし、この計算が意外と面倒で、場合によっては税務署からその減損処理が認められないケースもあるため、企業によっては未だに簿価計上をしていることもあるという話を聞きます。