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電話加入権の廃止
電話加入権を廃止するという流れがあるのは事実です。しかし、いま電話加入権を廃止してしまうと、各方面に影響が出てしまうと言われています。はたしてどのような影響が出るのでしょうか。
企業は電話加入権の廃止を望んではいない
そもそも電話加入権とは、施設設置負担金を供出した際に付与されるアナログの電話回線を引くことのできる権利のことです。
その施設設置負担金は、アナログの電話回線を引くためのインフラ整備に必要な費用を提供してもらうことが目的でしたがすでにアナログ電話回線のインフラ整備は一段落しているというのが大方の見解です。
このため、電話加入権(施設設置負担金)制度は廃止すべきではないかという議論が巻き起こっています。そして、電話加入権の今後は非常に不透明な状況にさらされているのです。
何度となく、こうした話題を取り上げたことがありますし、こうした話題はネット上でも喧々諤々されていますが、たいていは官や大企業からの発信であって、民間の実情とはかけ離れています。実際問題、一般の方々は施設設置負担金を支払って電話加入権を購入するといったことは、特に新規ではほとんどありません。
アナログの電話回線を引く場合でも、施設設置負担金を支払わなくても使うことができるNTT東日本/西日本「加入電話・ライトプラン」などを利用するケースが増えています。こうした実情を考えると、電話加入権制度が廃止される可能性はゼロとは言い難いものがあります。
しかし、電話加入権の廃止についての議論が続きながらも、なんだかんだで廃止されずに細々と現状のまま推移しているのは、前述したように官や大企業の思惑が絡んでいるためです。
特に大企業の場合、本社や支店、営業所の移転などは可能性が低いため、電話回線の利用が長期間に渡るといったケースが少なくありません。
このため、施設設置負担金が不要な代わりに基本料金が割高になる「加入電話・ライトプラン」より、基本料金を抑えられる電話加入権を取得したプランを選ぶのは当然のことでしょう。
さらに、電話加入権をすでに数多く所有している大企業にとって、その電話加入権は会社の資産となっています。万が一、廃止されてしまったら、当然ながら会社の資産が減少してしまいます。
だから、特に大企業にとって電話加入権の存続は死活問題であり、官もそうした大企業からの要請には敏感になっているといった現状が続いているのです。
東日本大震災でアナログ固定電話の必要性を再確認
携帯電話やスマートフォンが急激に普及していることで、固定電話は衰退してしまうと思われていました。東日本大震災の発生で、流れは大きく変わりましたよ。
特に、アナログの電話回線が携帯電話やIP電話などより、遥かにつながりやすかったため、もしものためにアナログの電話回線が必要だという声が上がってきたのです。このため、実は電話加入権の取り引きは中古市場では活発化しているのです。